世界に存在する「日本」を見るー就活体験

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留学に行くか否かではなく、そこで何かをしたか否かに意味がある

私は、2015年の6月から2016年の4月まで、スペインのマドリードに滞在していました。 マドリードのアルカラ・デ・エナーレスという、町自体が世界遺産であり、ドン・キホーテの著者として世界的に有名な作家セルバンテスが生まれた町として知られる町に、約10か月間滞在しました。交換留学生として、現地で取得した単位を三学年で取得すべき単位に換算しながらの滞在であった為、アルカラ大学付属の語学学校に滞在し、帰国後すぐに四学年として、いわゆる「就職活動生」として日本の大学生活に戻ることとなりました。

私は、スペインに滞在時に一度も「言語を習得する為」に行動したことがありませんでした。もちろんネイティブスピーカーと常に関わり、現地にいる日本人とはあまり関わらないようにするなどの向上心はいくらかありましたが、自分の中で言語は後から付いてくるものであり、あくまでコミュニケーションのツールであり、私は決して、「言語を習得するため」にスペインに足を踏み入れたのではありませんでした。

留学する前、私の中には大きな目標がありました。

それは、「世界に存在する日本を見る」ということ。日本の文化である漫画やアニメーションが、世界にどれだけ存在しているのか。自分がこれから生きていきたい世界と自分が選んだ国を、どのように繋げていけるのか。

このような考えから、「スペインで漫画の学校に通うこと」「スペインのアニメーション会社と関わること」を目標の軸として、スペインに足を踏み入れました。

スペイン。日本。アニメーション。漫画。これを、どう繋げたら、「仕事」になるであろう。ずっと、この四つのワードを繋げる何か、を、スペイン滞在時にがむしゃらに探していました。やりたいことはある。でもそれを「仕事」に出来るだろうか。その葛藤から、私の「留学生活」ではなく、「異国での闘い」が始まりました。

まずは、「現地の漫画の学校に通うこと」。私は、以前から自ら漫画を描く習慣があり、もちろん技術を上げたいという思いもありましたが、何よりスペインで「漫画」に興味を持つ人々と関わり、彼らにとって日本とは、漫画とは何なのかを知ることが第一の目的でした。

とにかく、外国人でも入れてもらえる、短期間で席を置ける学校を探しました。探し出した約十の学校から、二校だけ、私が求めていた条件が合い、その二校に通い始めることとなりました。

一つは、スペインで活躍している実際の漫画家が先生となり、週一回、授業が開かれるというもの。もう一つは、漫画の授業というよりも主にイラストをメインとした授業が開かれ、こちらもプロのイラストレーターが先生となって教えてくれるというものでした。私はここで、多くのいわゆる「漫画」に関わる人々と関わっていく中で、まだまだ日本の漫画は世界に届いていないこと、コアなファンの中で人気作品のみが語られており、実に狭い世界の中で日本の漫画が語られていることが分かったのです。

就職活動は留学から始まっている

「留学」に行ったからといって、就職活動が有利になる等という勝手なイメージは、最初から捨てていました。

それはただの固定概念でしかないのに、多くの人がその固定概念を捨てぬまま、日本に帰っていきます。つまり「足を踏み入れること」に満足し、そこで動かずに帰っていくのです。就職活動は、異国に足を踏み入れた瞬間から始まっています。留学をしたか否かではなく、そこで何をしたかを企業は見るからです。

私はとにかく、不安を行動に変えていきました。 日本の皆は、もう私より随分先にいる。日本だからこそできる、インターンシップや会社説明会に参加しているのだ。そうであるならば、私もスペインに滞在しているからこそできることをやろう。皆よりもっと先に行く為に。そう決心した途端、驚くほどにたくさんのチャンスが私の前に現れました。

漫画の翻訳を経験する

友人に、日本のビデオゲームの翻訳をしている者がいました。彼女は日本語が堪能で、翻訳業界の中でも名高く、多くのスペインを代表する翻訳会社の方々が頼りにするような友人でした。

ある日その友人から、一通のメッセージが届きました。それは、翻訳の仕事の手持ちが多すぎて、手に負えないので手伝ってほしいというもの、つまり私自身が漫画の翻訳を経験するチャンスが来たのです。

これは何か将来に必ず役立つと思い、すぐに引き受けました。残念ながらビザの関係で、翻訳者として働くことは不可能でしたが、この経験は現在書いている卒業論文のテーマになり、又スペインで最も有名な翻訳会社であるNormaEditorial社に翻訳の才能を買ってもらい、名前が記入されることとなりました。

日本とスペインに関わる記事の作成と発信

漫画の翻訳に関わったあと、ビザの関係でこれ以上続けられないことが分かり、他に何か挑戦できるものは無いかと探していた時に、友人からある団体を紹介されました。

それが帰国まで大変良い経験をさせてもらったESJAPONという団体であり、ここで日本とスペインに関わるニュースやイベントを記事にするという仕事が出来ることになったのです。この活動でたくさんの人々と、たくさんの「仕事」に出逢いました。記事が完成する度、様々な形で日本とスペインの架け橋となっている人々を知り、自分はどのようにして日本とスペインを繋げていくのかについて最も考えさせられた時期でありました。

現地でのアニメーション会社との関わり

もう一つの目標であった「スペインのアニメーション会社と関わること」。

私は、留学前から頭の中にあった「アニメーション」と「日本」「スペイン」を繋げる為、現地のアニメーション制作現場を見る機会があれば、何かヒントがあるのではないかという思いから、どこか制作現場を見せてくれるアニメーション会社を探していました。マドリードには約30社のアニメーション会社があり、その全てとコンタクトを取りました。

もちろんすぐに形にはならず、長い間実現できるか否かの中にいることとなり、最終的に日本のような「会社見学」を行うことが不可能であることが分かりました。しかし、その中の一社であったアニメーション会社の方と長い間コンタクトを取ることが出来、スペインにとってのアニメーション、日本にとってのアニメーションとは何なのか等、現地のアニメーションに関わる方からアニメーションのあるべき姿を教わる良い機会となりました。

仕事とスペイン語を繋げる難しさ

「スペイン語」で仕事をする。スペイン語話者が、誰しもまずこれを目標としますが、まだ話者が少ない言語だからこそ高い壁が存在します。「言語」というものは、長くやればやるほど良い方向に進んでいきます。

つまり、「経験者」が優遇されるのです。得に話者が少ないスペイン語の世界は、まだまだ仕事が限られていることを痛感させられました。

漫画。アニメーション。日本。スペイン。10か月間、様々な経験から出た答えがありました。それは、「ライセンスビジネス」です。作品には、必ず「著作権」が存在します。この「著作権」を管理することによって海外と作品を売り買いするビジネスが存在することを、現地で様々な人々と出会う中で知りました。

私がするべき「仕事」はこれに違いない。自分の中でしっくりきたその「仕事」を軸に、就職活動をすることを決心しました。

現地日本での就職活動の始まり

2016年の4月に帰国し、その足で日本での就職活動が始まりました。

もちろん、日本で闘っていた皆は先の先に行っていて、焦る毎日でありましたが、常に周りのペースに惑わされず、なるべく自分のやるべきことだけを見るように心掛けていました。主にマスコミ関係の企業を中心に受け、テレビ、出版、版権、アニメーションの順に選考が進んでいきました。

私は、最初から受ける業界を絞っていた為、その分他の可能性を潰してはいないだろうか、もっと業界を広く見るべきではないだろうか、等、多くの不安を抱えながらの就職活動でしたが、その途中に出逢ったアニメーション会社の方の影響で、自分の中の何かが動きました。

その姿を見た際に、「自分の身を削ってまで人の為に仕事をすること」「自分の為ではなく誰かの為に仕事をすること」に心が惹かれました。

それを、アニメーション業界の方たちがやっていたのです。自分の仕事で、誰かの人生を変える。それを世界で共有することができる。その世界を知ってから、「アニメーションの世界で生きる」という強い決心をしました。

点と点が繋がる

答えは、いつも最後に分かります。そのとき答えが出なくても、必ず意味を成す時が来る。私はこれからアニメーションの世界で「日本」と「世界」を繋げていくこととなりますが、実際日本の作品で、世界の誰かを変えることができるか否かなど、やってみないと分かりません。

しかし、漫画の学校に通ったことで日本の作品がまだ多くの人に伝わり切れていないことが分かったように、現地のアニメーション業界と関わったことで日本のアニメーションの良さは2Dにあることが分かったように、やった後に答えが出ます。実際、自分がアニメーション会社に就職して自分が目標としていることを成し遂げることが出来るか否かなど、三十年もその先もわからない気でいますが、とりあえず飛び込んでみること、とりあえず不安を行動に変えてみることで、何かを得ることができることを、この10か月間の留学生活で確信しました。

皆さんへのメッセージ

私のように、「何がやりたいのか」を明確化できていない人も、焦る必要はありません。 「仕事」は常に私達の近くに存在しています。

もし今ペットボトルを手にしているとしたら、このペットボトルができるまで何人の人がどうやって動いたのだろう、と考えてみる。今椅子に座っているなら、これはどんな企業のどんな人が創ったのだろう、と考えてみる。それだけで、もう「就職活動」になります。実は、これが一番就職活動で重要なことであると、私は思っています。

常に「なんでだろう」と考えてみること。これが後に、自分が何かに飛び込む理由となります。それが正解か否か分からなくても、まずやってみること。そうすれば、必ず自分の求めていた「何か」に辿り着くことが出来ると思います。

環境を変えるからこそできること。異国だからこそできること。それを全てやってみてください。それをやったなら、言語なんてとっくに習得していますし、自分にとって「仕事」とは何なのかを明確化することができると思います。

留学経験者へ向けた就職活動アドバイス

留学は決して特別なことではない

留学は、決して特別なことではありません。 つまり、面接で、留学していたことを伝えたからといってその行動力を見てもらえるような時代ではもうないのです。 「そこで何をしたのか、そこからどのようにその仕事に生かすのか」を企業は見ています。

だからこそ、異国に足を踏み入れた時点で満足してはいけないのです。その後、どれだけ動いたかで、就職活動の進み方に大きく関わっていきます。とにかく、留学先についての話のネタを、多くしていきましょう。

自分のことを伝えすぎず相手とキャッチボール

留学に行くと、それだけ自分に自信が付き、考えることが多くなるのでその分自分の「意見」が自然と出てくるようになります。 すると、特に自分を短時間でアピールしなければならない就職活動の場については、前に前に行こうとしてしまう留学経験者は多いかと思います。

私はこの壁に長い間悩まされました。ネタを多く持っているからこそ、すぐに出そうとしないこと。相手の「質問の意味」を確実に捉えてそれにあった答えを引き出しから出していく。そういう面接の仕方をすると、前に進んでいきやすいと思います。

周りの重圧に流されない

皆がたくさんの企業を受けていたり、色んな業界を見ていたりしても、それに振り回されてはいけません。 就職活動は「こなす」ものではなく「掴む」ものである為、数をこなせば良いというわけではないのです。自分の目指す業界だけを見て、その業界の動きに自分も合わせていきましょう。もちろん最初のうちは、なるべく色んな企業や業界を見て、「こんな仕事もあるんだ」ということを見ることはとても良いことだと思います。

色んな業界の会社に自分が関わることができる機会など、これから一生訪れません。 この就職活動の期間をチャンスに、いろんな「仕事」に触れてみるのも、一つの手ですが、就職活動の仕方に正解は無いので、自分の中で効率が良いと思うやり方やペースで、就職活動を行いましょう。

マスコミを目指す人に伝えたいこと

マスコミ関係の業界研究は、最も困難だと言われています。 なぜなら大学側や就職活動生側に、情報が全く回ってこない環境にあるからです。 そんな中、最も効率の良い業界研究の方法は、実際にマスコミ業界で働いている人と直接関わってしまうことです。 実は、自分から動けば業界の中の方に関わることができる場はあります。

とにかくマスコミ関係を目指す就職活動生は、自分から動いて、自分のペースで就職活動を行うことがカギであると私は考えます。

考えがしっかりしていれば、必ず伝わります。諦めずに、就職活動を続けて下さい!

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